金利と為替レート:日本経済復活のカギ?
前回から金利の問題に為替レートの問題が加わってきました。実はこの2つは決定的に絡まりあって来ているからです。
その関係で前回「プラザ合意」に触れました。 プラザ合意とは何だったのかは、十分ご承知の方も多いと思いますが、私なりの解釈は、下線部分のクリックでご覧いただけます。
金利と為替レートの関係は、他の条件に変化がなければ、金利を上げれば為替レートは高くなるというものです。お金は金利の高い方に流れるからです。
現に、アメリカの金利引き上げ予測のたびに、ドル高・円安になります。
リーマンショックで世界中の銀行のバランスシートに大穴があいて、日本の銀行も苦労しました。しかし確かにバーナンキ流の異次元金融緩和で第一次大戦後のように、大恐慌や世界戦争に発展せずに済んだようです。
勿論、金融政策だけでなく、社会政策の充実、国際的な理解と協調の賜物でしょう。
さて、張本人のアメリカはどうかというと、世界の温かい見守りもあり何とか安定を取り戻し、ダウ平均も史上最高、万年経常赤字は変わりませんが、シェールオイルも出て、回復基調、いよいよ利上げという段階に来ています。
しかし、利上げをすればドル高になり、国際競争力は弱まり、経済の回復力も弱まって、経常赤字はより深刻になるわけで、利上げをしてもドル高にならないようにと極めて慎重です。果たしどうなるか、初めての実験、お手並み拝見というところでしょう。
では日本はどうでしょうか。日本はプラザ合意で為替レートを、1ドル240円から120円と2倍の円高にされ「失われた20年」を経験さらにリーマンショックで80円にされ、日本経済存亡の危機にありました。
スティーグリッツも「1ドル80円じゃ無理だよ、少し円安介入したら」などとアドバイスをしてくれるほどでした。
こうした環境の中で、通貨の番人日銀も、次第に円安転換の必要性を感じていたようです。そして白川総裁から黒田総裁に変わり、アメリカと同じ「異次元金融緩和」に踏み切りました。
プラザ合意を決めたG5の国々も、日本の惨状を知って「1ドル80円は行き過ぎ、可哀相だ」という気持ちもあったのでしょう、国際投機資本も、そのあたりの雰囲気は察知していたのでしょうか、二回の異次元金融緩和で円は1ドル120円に戻しました。
ここでは、金融緩和は、企業活動の潤滑油をしっかり注油して、企業活動をやり易くするというよりも、「為替レートを円安にする」という金融市場への働きかけとして使われたのです。そして、マネー資本主義の盛行の中で、それは成功しました。
お蔭様で、安倍さんは「アベノミクス」大成功、ということが出来ました。
しかし、残念ながら、その後のマイナス金利を含む第3次の金融市場への働きかけは 効果を示せませんでした。そして、経済成長率も物価も上がりません。
アメリカの異次元金融緩和も、日本の場合も、非常事態の救済には役に立ったのでしょう、しかしそれ以上ではなかったようです。
これはその後のアベノミクスが国民への働きかけ「一億層活躍」「働き方改革」などに注力していることからも見て取れます。
繰り返して言えば、黒田日銀の2回の異次元金融緩和は、円高で動きの取れない日本の企業の「円高」という障害は取り除きました。しかしそれ以上のことはうまく出来ないようです。
結局、金融緩和という政策は、潤滑油の供給という意味でも、また、(今日のマネー資本主義の中での)金融緩和と為替レート対策の組み合わせ政策の中でも、動かない機械を動くようにすることはできても、さらに機械の動きを積極的に活発化することはできないようです。
こうして、おカネの動き、金融政策だけで、経済がどうにでもなるという考え方は、「やはり違うな」という事が見えてきたように思われます。
経済は人間がお金を使ってやることですから、人間が何を考えるかで決まってくるのです。残念ながら、人間はおカネだけでは動かないという、ごく当たり前の所に帰って来ているのではないでしょうか。
前回から金利の問題に為替レートの問題が加わってきました。実はこの2つは決定的に絡まりあって来ているからです。
その関係で前回「プラザ合意」に触れました。 プラザ合意とは何だったのかは、十分ご承知の方も多いと思いますが、私なりの解釈は、下線部分のクリックでご覧いただけます。
金利と為替レートの関係は、他の条件に変化がなければ、金利を上げれば為替レートは高くなるというものです。お金は金利の高い方に流れるからです。
現に、アメリカの金利引き上げ予測のたびに、ドル高・円安になります。
リーマンショックで世界中の銀行のバランスシートに大穴があいて、日本の銀行も苦労しました。しかし確かにバーナンキ流の異次元金融緩和で第一次大戦後のように、大恐慌や世界戦争に発展せずに済んだようです。
勿論、金融政策だけでなく、社会政策の充実、国際的な理解と協調の賜物でしょう。
さて、張本人のアメリカはどうかというと、世界の温かい見守りもあり何とか安定を取り戻し、ダウ平均も史上最高、万年経常赤字は変わりませんが、シェールオイルも出て、回復基調、いよいよ利上げという段階に来ています。
しかし、利上げをすればドル高になり、国際競争力は弱まり、経済の回復力も弱まって、経常赤字はより深刻になるわけで、利上げをしてもドル高にならないようにと極めて慎重です。果たしどうなるか、初めての実験、お手並み拝見というところでしょう。
では日本はどうでしょうか。日本はプラザ合意で為替レートを、1ドル240円から120円と2倍の円高にされ「失われた20年」を経験さらにリーマンショックで80円にされ、日本経済存亡の危機にありました。
スティーグリッツも「1ドル80円じゃ無理だよ、少し円安介入したら」などとアドバイスをしてくれるほどでした。
こうした環境の中で、通貨の番人日銀も、次第に円安転換の必要性を感じていたようです。そして白川総裁から黒田総裁に変わり、アメリカと同じ「異次元金融緩和」に踏み切りました。
プラザ合意を決めたG5の国々も、日本の惨状を知って「1ドル80円は行き過ぎ、可哀相だ」という気持ちもあったのでしょう、国際投機資本も、そのあたりの雰囲気は察知していたのでしょうか、二回の異次元金融緩和で円は1ドル120円に戻しました。
ここでは、金融緩和は、企業活動の潤滑油をしっかり注油して、企業活動をやり易くするというよりも、「為替レートを円安にする」という金融市場への働きかけとして使われたのです。そして、マネー資本主義の盛行の中で、それは成功しました。
お蔭様で、安倍さんは「アベノミクス」大成功、ということが出来ました。
しかし、残念ながら、その後のマイナス金利を含む第3次の金融市場への働きかけは 効果を示せませんでした。そして、経済成長率も物価も上がりません。
アメリカの異次元金融緩和も、日本の場合も、非常事態の救済には役に立ったのでしょう、しかしそれ以上ではなかったようです。
これはその後のアベノミクスが国民への働きかけ「一億層活躍」「働き方改革」などに注力していることからも見て取れます。
繰り返して言えば、黒田日銀の2回の異次元金融緩和は、円高で動きの取れない日本の企業の「円高」という障害は取り除きました。しかしそれ以上のことはうまく出来ないようです。
結局、金融緩和という政策は、潤滑油の供給という意味でも、また、(今日のマネー資本主義の中での)金融緩和と為替レート対策の組み合わせ政策の中でも、動かない機械を動くようにすることはできても、さらに機械の動きを積極的に活発化することはできないようです。
こうして、おカネの動き、金融政策だけで、経済がどうにでもなるという考え方は、「やはり違うな」という事が見えてきたように思われます。
経済は人間がお金を使ってやることですから、人間が何を考えるかで決まってくるのです。残念ながら、人間はおカネだけでは動かないという、ごく当たり前の所に帰って来ているのではないでしょうか。